自分軸をもつ

好きなことをして生きる。

自分の夢を叶える。

自分に合った仕事を見つける。

こういうのが理想だと思って

大学でキャリア教育を担当してきた。

でも、最近、疑問をもっている。

例えば・・

自分に合った仕事なんてあるんだろうか?

仕事って、自分以外の他人の役に立つから

お金をもらえるんじゃないの?

そして、他人の役に立つって

要するに、その他人に寄り添い、

その他人の希望を叶えること。

組織に所属している人であれば、

その組織にとって役立つ人であるかどうかが

まず問われる。

「自分に合った仕事なんてない!」

「仕事に自分を合わせるんだ!」

なんて言われることがあるが、

そう考えた方が現実を生きやすい気がする。

そもそも

「この仕事を自分は好きか?」

「この仕事は自分に合っているか?」

なんてことを意識している時点で

その仕事に没頭できてないし、

他人に、組織に、寄り添えない。

「自分」というものを横に置いて、

目の前の仕事に没頭する。

「目の前にある仕事を “好きになる”」。

好きなことを仕事にするんじゃなくて、

与えられた(目の前の)仕事を “好きになる”。

まず、こういう姿勢をもつことが、

大事なんだと思う。

でもここで、重要な反論が新たに生まれる。

そんなこと言ったってさぁ、

もともと好きじゃない仕事を

無理やり好きになったとしても

それを「継続する」って、できないよねぇ。

この批判、その通りだなって思う。

目の前の仕事を、3年、5年、10年と

「継続する」ためには

「自分は “なぜ” この仕事をするのか?」

という理由、もっというと “意図” があるかないか。

これが決定的に重要だ。

具体的な仕事、というレベルではなく、

「この社会はどういう方向に向かっているのか」

それに対して、自分はどう考えるのか。

そして、自分として

この社会はどうなっていくことが望ましいと考えるのか。

かなり抽象的だが、この辺のことが明らかになっていると、

目の前の仕事に対する向き合い方も変わってくる。

私の言葉でいうと「自分軸」をもてているかどうか。

そして、自分がやっている目の前の仕事が

その「自分軸に沿っているという感覚」を

もてているかどうか。

もし、その感覚を持てていれば、

目の前の仕事を「継続する」ことができると思う。

だから、これからのキャリア教育は

この「自分軸を育てる」という方向に

注力されるべきだと思う。

でもこれ、やってないよねぇ。

自分に合った仕事を見つけて(決めて)

その仕事を目標に努力する、

みないなことしか、やれてないと思う。

仕事なんて、これから5年、10年で大きく変わる。

今ある仕事だって、なくなるかもしれない。

いや、新しい仕事を自分がつくる、

くらいの気概がないと、

これからの社会の大きな変化にはついていけない。

そんなことを考える、今日この頃。