問題はどこにあるか

大学で「問題解決」をテーマにした授業を担当している。

問題解決。

「問題」には、荒く言って二種類ある。

①「個人」の問題

②「組織」の問題

①の具体例。

部屋が片付かない。

貯金がたまらない。

就活で何から動いていいかわからない。

   :

②の具体例

バイト先の人間関係が悪い。

部活のチームワークが弱い。

ゼミの運営体制に不満がある。

   :

こういった問題の「解決」を授業の中で考える。

①は、②に比べるとやさしい。

自分の考え方、行動を変えるだけでいいからだ。

(それも実は大変だが・・)

人は、①の問題がある程度、解決できるようになると

②の問題に直面する。

②の問題が難しいのは、

長年にわたって築かれてきた、
その組織の文化に根差しているからだ。

「文化」には、荒く言って二種類ある。

A)縦の文化

B)横の文化

A)の具体例。

一番わかりやすいのが、硬直した官僚組織。

上司の命令は絶対。

現場の(下の)人が

「それ、絶対まずいですよ」

と思っても、質問や反論は許されない。

「上からの命令だ。やれ」

以上。

この文化の特徴は

「問題があってもないこととされる」だ。

「~~って問題じゃないですか?」

「~~ってどうなんですか?」

みたいなことを下の人が指摘(質問)すると

上の人は、黙殺するか、

「いいから黙ってやれ」ってなるか、

しぶしぶ(いやーな感じで)現状について教えてくれる。

そもそも、下から問題を指摘されないように

上の人は、情報をなるべく公開しない。

公開すると、上記のような指摘を「受けやすく」なるから。

次に、B)の文化の具体例。

スターバックス

スタバでは、従業員のことを「パートナー」と呼ぶ。

パートナー。つまり、横の関係。

本部は、現場の店舗、従業員を「サポートする」という文化。

横の文化は、お店を利用する人にも広がる。

スタバのお店に入ると、

「いらっしゃいませ」(お客が来た)ではなく、

「こんにちはー」(笑顔)ってなる。

スターバックスのCEOを務めた岩田松雄氏はある記事で

次のことを従業員に語ったという。

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  スターバックスの社員である前に
  人間として正しい判断をしてほしい。

  必ず私はその判断を支持するから。

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こんな風に言ってくれる上司がいる組織で働きたいなぁ。

でも、B)の文化をもつ組織でも

問題は常に起こっていると思う。

というか、問題をみんなで共有して、

関連する情報を密に交換して、

「共に解決しよう」ってなるんだと思う。

さて、ここまでで明らかなのは、今後、

縦の文化の組織は衰退し、

横の文化を育てる意思をもつ組織は発展する、ということ。

そして、組織と言ってもそれをつくるのは、個人。

だから、個人として、横の文化に身を置く。

横の文化に自分を馴染ませる。

横の文化を広げる人になる。

それが、個人としての「問題解決」になる、はずだ。