危機に際して

東日本大震災津波で児童・教職員84人が死亡・行方不明になった、

宮城県石巻市の旧大川小学校。

 

この惨事について、10年にわたって綿密に調査・分析した研究者の

オンライン講座に参加した。

なぜ、安全な場所に避難できなかったのか。

危機に際して、人や組織に何が起こるのか。

そのとき、組織のリーダーが果たすべき役割は何か。

これらの問いについて、考えさせられた。

以下は、その講座を受講して、私が考えたこと。

 

危機を感じたとき、人には次の反応が起こる。

不安、恐怖、緊張、パニック、・・・

 

これらへの対処には、荒く言って二つある。

①恐れの対象から目を背けず、現実を直視して、できる限りの対策を講じる。

②恐れの対象から目を逸らし、楽観論に走る。結果、何もしないか、

 とるべき行動とは真逆の(誤った)判断をしてしまう。

 

こうみると、①が良いに決まってるじゃないか、となるが、

現実には、②になってしまう人、リーダーも多い。

 

なぜかというと、「現実を直視するのが怖い」から。

「怖い」という感情をわきに置いて、冷静に判断し行動するのは、

なかなか大変なのだ。

 

①の場合、その恐れの対象(例えば、津波)が「現実に」なることを

想定して行動するので、その恐れの対象が

本当にきても大事には至らない(最悪の事態を避けられる)。

「やれることはやった」という完了の意識から、冷静に対処できる。

 

ところが、②の場合、その恐れの対象(例えば、津波)が

「こないでくれ」と無意識に願うだけなので、
その恐れの対象が  “本当に” きたとき、
その(無意識で)恐れていたことが、最悪の形で「現実に」なる!

 

 

危機に際して、誤った判断をした(と見なされる)組織のリーダーがいる。

戦争時の指揮官、企業経営のトップ。

 

そのリーダーたちは、

「現実を直視できなかった(直視するのが怖かった)」

ということになるのかもしれない。

 

「(実は)怖くて怖くて、仕方がなかった・・・」

 

じゃあ、どうすればいいのか?

 

平時において、恐れの対象(例えば、津波)の対策をしっかり練っておくこと。

もし、そうなった場合のシミュレーションを徹底的に行っておくことだ。

 

そこで必要なのが「対話」である。

上司も部下もない。教師も生徒もない。

もしもの時に備えて、どうしたらよいのか。

1人ではなかなか思いつかない。盲点もある。

だからこそ、みんなで、あらゆる観点を出し合う「対話」が必要なのだ。

 

安心、安全の場で、誰もがフラットに意見を出し合える職場、学校。

ちょっとした疑問や違和感を言葉にしても、怒られない。

ちゃんと受け取ってもらえる。

 

そうした組織が、今のような変化の激しい時代、激動の時代を

生き残っていけるのだと思う。