紙と電話

学生から小学校の教育実習から戻ってきたので

様子を聞いてみた。

私: 学校って、今も、紙と電話とFAXで仕事してる

   みたいだけど、どうだった?

           例えば「去年作ったはずのあの書類、どこ?」

   みたいなことが起きてるんじゃないかなぁ。

学生:そうなんですよぉ。

   ちょうど、運動会の時期だったんですけど、

   「あの書類、どこ?」

   「あっ、あれは去年、〇〇先生が作ってました」

   「じゃあ、〇〇先生なら知ってるな」

   「それが・・〇〇先生は今年3月に移動になって・・」

   「えっ、それじゃ、どこにあるかわからないの?」

   「えぇ、どこにファイリングされてるかわからなくて・・」

   「1から作り直しか・・」

   みたいなことになってました。

私: そうなるよねぇ。

   保護者への連絡も紙だよね?

学生:はい。保護者の承認をもらわないと進められないことも

   多くって・・紙で渡して、承認印もらって確認して・・

私: すごい手間だよねぇ。

   やっぱり、連絡を取り合う手段は、今も紙と電話なのか・・

これは、この学生の実習先の話というより、

ほとんどの公立学校の「現状」だと思う。

働き方改革、というのだったら、

まずこういう「現状」を正確に把握し、

「時代に合った」姿に変えていくことが先ではないだろうか。

次は、授業についての学生とのやり取り。

私: 一斉授業ってもう成り立たないんじゃないかなぁ。

   授業内容を全然理解してない子と、とっくに理解してて

   先に進みたい子との差が広がってるんじゃない?

学生:そうなんですよぉ。

   算数で「分数の計算」の授業があったんですけど、

   「通分」の話を最後まで理解できず、奇数と偶数の話だと

   思い込んでた子がいました。

   その反面、「通分」は塾でとっくに理解してて

   計算を解くのも5分で終わり。ずっと

   「次、何をやればいいですか?」状態の子もいました。

私: そうなるよねぇ。

   一斉授業っていうのは、授業内容に何とかついていける

   中間のボリュームゾーンの子たちがいて

   初めて成り立つんだけど、現状は

   全然わからない子と、既にわかっちゃってる子の二極化が

   進んでるよねぇ。

学生:算数なんかは特にそうでしたね。

   能力別の少人数クラスにしても、一人の教員で対応するのは

   無理な状況だと思いました・・

という感じ。

そもそも、一人の学級担任が

国語、算数、理科、社会・・って全部の教科を受け持つ

システム自体がもうとっくに成り立たなくなってる。

さらにそこに、

道徳の教科化、英語教育、プログラミング教育、ICT教育、

GIGAスクール構想って、どんどん上積みされ、

それが全部負担として、担任にのしかかってる・・

最後に学生が言っていた言葉が印象的だった。

「“やりがい”だけではやってけない職場だと思いました」

現状がこのまま続くと、

「教員になりたい、なろう」とする若者は

どんどん減っていくことは間違いない、だろう・・